限界発 目標行き 努力号

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頭領の柔道小僧時代、道場の先生方は、みな怖い存在でした。勿論、「怖い」といっても、ただの一度も突き飛ばされたり、殴られたり、蹴られたことはありません。でも怖かった。怖い先生がいっぱいの道場でした。その例を一つ・・・、「さぁ、腕立て伏せじゃ」、「おりゃ、腹筋せいっ」と先生から号令がかかっても、先生は、「何回する」を言いません。先生が、数を言うのは、決まって「最後10回じゃ!」からです。それがそのうち「最後の5回」になって、「最後の3回」になって、この頃になると手は、ブルブルしてて、「よぉ~し、最後!たったの1回!」となりますが、この頃になると、全身震えて、腕立て伏せの姿勢をとるのがやっとの状態で、門下は、みな、たったの最後の1回を必死にやります。最後の1回って、永遠だったのか、と思い始めた頃、限界に到着です。腕立て伏せの姿勢すらとれない。限界に到着した腕は、翌日がたいへんでしたが、しかし、門下の誰一人、途中でやめる者はいませんでした。勿論、最後まで出来ない者はいました。でも、先生も門下もそれを論ずる者は一人もいませんでしたし、同じく、この練習に弱音を吐く者も愚痴を言う者も一人もいませんでした。そして、腕立て伏せが出来て褒める先生も一人もいません。ただ、怒ってるのか応援してるか分からないややこしい霊長類はいました。要するに出来る出来ないは、個人的なことで出来ないことを責めたり、責められたことは一度もありません。そこにいた先生も門下も皆、限界に到着することが目的だと知っていたので、「最後の3回」で限界に到着した者も、「最後のたったの1回」で、限界にたどり着いた者もみな、最後までやろうとしたし、その場を離れたり、立ち上がったり、逃げ出す者はいなかった。ともかく、苦しいうめき声は聞こえても、だれもやめようとしませんでした。それは、怖い先生を信じて従っただけのこと。門下は、強くなるという目的をもっていた、それだけのこと。たったそれだけのことなんです。

結果、その道場から世界大会に優勝した者がいたか、一人もいません。オリンピックのメダリストが生まれたか、誰も生まれません。でも確信していることがあります。それは、その道場の門下で、その後、それぞれの世界にあって、弱音を吐いて、やめていく者は、いなかったということです。みんな自分の世界で何度も限界に到着して目標に到達してるでしょう。本当によい修行をさせていただきました。

以上は、頭領の子供の時代がそうであったと言う話です。今吹衆のこの手法を使っても多分だれもついてはこないし、頭領では、あのころの先生達のような怖い雰囲気もつくれない、「恐い」でなく「怖い」、「恐い」のは、だれでも演出できますが、「怖い」のは難しい。そして、怖い師匠は、弟子を連れて行きやすい。どこへ?勿論、限界へ・・・。限界を経由しないと目標には、たどり着けません。なぜか、そこから努力が始まるからです。限界にたどり着くまでの練習は、準備運動です。限界に到着した者は、絶対こう思います。「つらいな」「やめよっかな」「でもな」「だる~」「うざ~」「でもな」・・・この「でもな」が努力号の切符です。何度か限界に着いて、そこから出発すると今度は、努力号からは、降りられなくなる。後は目標まで直行です。つまり、限界の到着からが本当のスタートです。だからどんな武道の先生もどんなスポーツの先生も弟子に限界から雄大なる目標という景色を見せたいと考えてる思います。そして、一度努力号に乗った者は、次からは、努力号に乗りやすくなる特典付きです。

ので、どうやって、頭領が経験した限界への到着を今吹衆に経験してもらおうか、悩みます。やろうとする心を引っ張り出すためにあの頃には経験しなかった「褒める」と言う手段をつかいます。がんばらせるために「褒める」、かつての柔道の師匠達が最も使わなかった方法でもあります。前出の通り、「怖い」は、限界に到着させやすいんです、褒めてもなかなか限界までは、行ってくれない。「がんばった」と「努力した」には、差があるからです。努力号は、気づきの世界の乗り物です。しかも努力号に乗った者が必ず目標に着くほど世の中甘くはない。弟子達を努力号に乗せるために、師匠は弟子に、しっかりした希望を持たせなければならないのです。そして褒めてがんばらせる。師匠には、このくらいしか出来ません。その先、努力号に乗るか乗らないのかは、その弟子が決めること、限界まで連れて行っても、その弟子は、努力号に乗らずに飛行機でもっと遠い目的地に簡単にたどり着くこともある。かと思うとイカダに乗ってしまって漂流し始める弟子もいる。師匠は、限界駅まで連れて行った弟子達が別々の乗り物に乗ってしまい、弟子達の背中に手を振ってるだけのこともある。とにかく、限界駅から努力号に乗せる、その経験がスポーツチャンバラで出来れば、頭領と名乗る値打ちがあると思っています。

さぁ、今吹衆、まずは、6月の和歌山大会だ!入賞目標にして練習して、努力号に乗り込むぞ、ただ乗り、飛び乗りなんでもいい、俺が乗せてやる。しんどいけど、がんばろうぜ!今吹衆。

 

 

 

2013年4月29日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : humishiotakashima